El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

アメリカ合衆国史① 植民地から建国へ

 世界システム論ー大西洋史をベースにしたところが新しい

植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書)

植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書)

 

川北稔先生の直弟子である和田光弘さんが著者であり、お得意の世界システム論をベースにしてアメリカ建国周辺の歴史状況がよくわかる。独立宣言に署名するみなが黒人奴隷を擁するプランテーション経営者だったとはおもしろい。建国当時のアメリカは奴隷王の国だったのだ。アメリカ独立戦争フランス革命米英戦争あたりの細かい応酬と利害調整も詳しい。ナポレオンが戦費ほしさにルイジアナを売却したというのもおもしろいし、ポカホンタスやベッツィ・ロスのようなサイドメモ的な人物描写も飽きさせない。さて、いよいよ南北戦争か。