El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ザ・ポエット(上・下)

 アメリカ横断サイコパスの旅

延長延長の緊急事態宣言をサスペンスを読みまくってしのぐ!

文庫本上下各400ページをそれぞれ一日で読んだ。「ボッシュ・シリーズ」のマイクル・コナリーのシリーズ外の単独クライム・サスペンス。主人公は作中で新聞記者から作家に転身していくので、コナリー自身をモデルにしているのだろう。

その記者ジャック・マカヴォイが殺人課刑事の双子の兄を自殺にみせかけて殺した男(?)を求めて、デンバーを振り出しにアメリカ中を旅し、物語の最後にはボッシュの舞台LAに。そのクライム・ロード・ノベルが不思議に旅情をかもす。

ボッシュと同様に、二転三転、ときにはご都合主義的な「ありえないミス」を重ねながら・・・あー、やっぱり、というところからのどんでん返し・・・あれ、返しすぎて動機が希薄になって・・・まあ、許そう。100ページ/時間のペースで8時間のサスペンス・マラソンボッシュのような生き様を描くまでに至らないのはいたしかたない。

「ザ・ポエット」と「我が心臓の痛み」の二つの単発小説は後々、ボッシュ・シリーズに繋がるらしいので、ボッシュ・シリーズの間に出版順でこのタイミング(「ラスト・コヨーテ」と「トランク・ミュージック」の間)で読むのが正しいらしい。