若手の私小説作家登場
図書館の「月刊文藝春秋」で芥川賞受賞の「苦役列車」を全文読む。週間ブックレビューでのインタビューの影響もあり興味を感じて読んでみた。
言いたいことはわからんでもないし、人生どこで苦役列車に乗ってしまうかわからないし、自分の子供も苦役列車に繋がれることになるかも・・そういうところは確かにある。最底辺ではなくても底辺者の日常がわかり、なぜその日常から脱出できないのかもわかる。これは女性の場合も同じだろう。男は日雇い、女は売春・・・そういう苦役に繋がれる人間も必ずいる。
社会は苦役を覆い隠してきたし、実際、経済が好調なときには苦役も減少していたのではあろう。そして今、経済の不調が苦役者を増やしているのだろう、一方で教育制度はまがりなりにも整っているから、文筆の能力と苦役が合体するようなこともまれにはありえてそれがこういう作品になったということだろう。