El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

女たち三百人の裏切りの書

 

女たち三百人の裏切りの書

女たち三百人の裏切りの書

 

神戸にまで持って行ったりして読みつなぎなんとか本日読了。語られる現在は平安末期、院政から平家の台頭そしてじりじりする源氏というそんな時代。この時代の藤原氏上皇平氏・源氏あたりの動きを一通り押さえておくとずっと楽しめるだろう。

そして、語るのはその100年前の人物、紫式部源氏物語光源氏鎌倉幕府の源氏ってどんな関係?という日本人なら一度は感じた疑問が発端なのでは・・・とも思わせる。

紫式部の亡霊が100年後に「真の宇治十帖」を語りつつ、その語りが100年後の今と融け合って、混乱の平安末期をドライブしつつ・・最後はアンチ・クライマックスに終わる、というか歴史を見ろということでしょう。

1000年代の日本から1100年代の日本への間を才たけた女たちの陰謀・裏切りが男たちの欲望とからみあって突き動かしたのだということか。プロットとしてこれだけのものを生み出す作者の頭脳には驚き。他の作品も読みたくなる。