El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

三体

超絶の科学リアリティで繰り広げられる、ディストピア的スペース・オペラ 三体 作者:劉 慈欣,立原 透耶[監修],大森 望,光吉 さくら,ワン チャイ[訳] Audible Amazon Audibleで聴きました(17時間31分)。2019年の発刊以来SF界を驚かし続ける中国版スペー…

ブックガイド(103)―「がん」になるから「進化」もできた―

ブックガイド(103) https://uuw.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/bookguide103.pdf ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物 作者:キャット・アーニー 河出書房新社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲ…

透明な迷宮

カバー絵のムンクのエッチングがいい 透明な迷宮(新潮文庫) 作者:平野啓一郎 新潮社 Amazon 第4期(=後期分人主義)の先鞭をつけた短編集とのこと。全6編。 「透明な迷宮」・・異国の地で監禁され、見世物として「愛し合う」ことを強いられた男女は、帰…

生命知能と人工知能

もうこの手の、脳科学や人工知能や意識についての本は読むべきではない 生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方・育て方 作者:高橋宏知 講談社 Amazon 著者が研究者としてがんばってきたのはよくわかる。全体のまとめとしても悪くはない。こういう研究が何…

日本の包茎 男の体の200年史

メディアのタイアップ記事の影響力! ネット時代にも要注意! 日本の包茎 ――男の体の200年史 (筑摩選書) 作者:澁谷知美 筑摩書房 Amazon 包茎治療は医師の数とパラレル。太平洋戦争末期の医師濫造で戦後に医師があふれた。その医師がかせぐためにあみ出した…

生きて、食べて、眠る部屋があって、ひとりになる時間があればそれでじゅうぶん 泡 作者:松家 仁之 集英社 Amazon 適応障害(?)ぽい、不登校男子高校生「薫」が、紀伊半島のどこか(たぶん白浜温泉)でジャズバー(&喫茶)をやっている大叔父「兼定」のと…

双調平家物語(11) 平家の巻(承前)

平清盛、急上昇のその理由(わけ) 双調平家物語11 平家の巻(承前) (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 保元の乱・平治の乱の後、価値観がひっくり返ったのに旧い価値観も引きずられている時代。天皇・上皇・摂関家・周辺藤原家そして平家・・…

第三次大戦はもう始まっている

やっと日本でもロシアよりの論評が・・・トップ・ガン虚し 第三次世界大戦はもう始まっている (文春新書) 作者:エマニュエル・トッド 文藝春秋 Amazon 半分くらいの日本人も、現在のウクライナの膠着状態やロシア経済がガタつかないことを見て当初の「ロシア…

生命科学的思考

セラノス事件的うさん臭さ ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考 (NewsPicksパブリッシング) 作者:高橋祥子 ニューズピックス Amazon ジーンクエストという民間遺伝子解析サービスを起業した京都大学農学部を10年前に卒業した女性が著者。遺…

空白を満たしなさい

分人主義小説の真骨頂 空白を満たしなさい(上) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon 空白を満たしなさい(下) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon Audibleで聴きました(上下で17時間)。聴いている途中で、NHKでドラマ化され放映されたがやはり原作のほうが深い。…