El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

汚名(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (20) 汚名(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュは67歳の設定。個人的にはボッシュ・シリーズでTOP3に入る。二つの事件を同時に解決するというのはこれまでにもあったが、それぞれの事件の設定…

世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ

mRNA 一筋40年、コロナ禍で花開く 世界を救うmRNAワクチンの開発者 カタリン・カリコ (ポプラ新書 ま 1-2) 作者:増田 ユリヤ ポプラ社 Amazon 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンといえばファイザー、モデルナが代名詞のようになっているが、これ…

続・私の本棚 (10)ジェネリックの理想と現実

還暦過ぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのセカンドシーズン「続私の本棚・還暦すぎたら一般書で最新医学」です。 第10回のテーマは「ジェネリック医薬品…

日本の歴史(8)蒙古襲来

元寇の裏で進むさまざまな社会の変化 日本の歴史 (8) 蒙古襲来 (中公文庫) 作者:黒田 俊雄 中央公論新社 Amazon 鎌倉時代後半。元寇の裏で進むさまざまな社会の変化=煮詰まり感。 大陸から大量の銅銭が輸入され現物経済から貨幣経済への転換がすすむのに伴…

日本の歴史(7)鎌倉幕府

没入する面白さ! 日本の歴史 (7) 鎌倉幕府 (中公文庫) 作者:石井 進 中央公論新社 Amazon 「鎌倉殿の13人」予習にはこれがベストかも。 いやあ、「武士の登場」から続けて読んでしまいました、各500ページ。iPad miniでの読書は目が疲れてしまい没入読書に…

日本の歴史(6)武士の登場

一気に読ませる面白さ 日本の歴史 (6) 武士の登場 (中公文庫) 作者:竹内 理三 中央公論新社 Amazon 日本史の通史は2018-2019年に岩波新書のシリーズ全25冊を読んだのだが、少し物足りなさは確かにあった。歴史のシリーズで定評があるのは、中央公論社「日本…

レイトショー(上・下)

「ボッシュ」のマイクル・コナリーの新シリーズ レイトショー(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 舞台は2017年のロスなのでハリー・ボッシュは67歳・・・年齢的にアクティブな役どころは難しいという判断なのだろう、今回の主役(ヒ…

男と女 人生最良の日々

Les plus belles années d'une vie(人生最良の日々を、まだ生きてはいない) 男と女 人生最良の日々(字幕版) アヌーク・エーメ Amazon 「男と女」の52年後・・・ ♪ シャ・バ・ダ、ダバダバダ、ダバダバダ のフランシス・レイの音楽でおなじみの懐かしい映…

法医学者の使命

医療事故裁判について、法医学者が語りつくす! 法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (岩波新書 新赤版 1890) 作者:吉田 謙一 岩波書店 Amazon 著者は法医学の大学教授を退官して大阪の監察医務監になった法医学者。1953年生。この手のよくある法医学OB…

私が進化生物学者になった理由

ただの自伝ではない、人間も含めた進化生物学の入門書としても秀逸 私が進化生物学者になった理由 (岩波現代文庫 学術 440) 作者:長谷川 眞理子 岩波書店 Amazon 紀伊田辺の自然の中で育ち、ドリトル先生(井伏鱒二訳をべたほめ。確かに、ドライで直線的な文…

承久の乱

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」予習三部作 完読 承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書) 作者:坂井孝一 中央公論新社 Amazon 本書が三部作の中で最初に書かれたもので文字通り後半は「承久の乱」メイン。 前半は院政の始まりから保元・平治の乱、源…

批評の教室

北村紗衣ワールドへの(やや高齢の)普通人向け入り口 批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書く (ちくま新書) 作者:北村紗衣 筑摩書房 Amazon 「批評の教室」というタイトルで、映画の批評の書き方?蓮見重彦の弟子?というイメージで手に取った…