El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

日本の歴史(7)鎌倉幕府

没入する面白さ! 

「鎌倉殿の13人」予習にはこれがベストかも。

いやあ、「武士の登場」から続けて読んでしまいました、各500ページ。iPad miniでの読書は目が疲れてしまい没入読書には向いていない(スピーディーなので、医学書や資料の閲覧には向いていますが)とわかったので、今回はPDFをSONYのデジタルペーパーというe-inkテクノロジーのタブレットに載せて読みました。ページの移動やデジペンでの書き込みはモッサリしているものの、没入読書にはやはりなかなかいい。読むことでデバイスの使い分けもできてきました。

頼朝の挙兵ー平家の滅亡ー鎌倉幕府ー奥州征伐(義経の死)ー頼朝専制から死ー源氏血統断絶ー北条氏台頭ー承久の乱ー執権政治の完成・・・とほぼ「鎌倉殿の13人」を網羅。文化や宗教、庶民の生活などの章もあり、至れり尽くせりの一冊。

初めて知ったのは、頼朝が晩年近くに長女大姫(テレビでは南沙良)を後鳥羽天皇に入内させようと無理したことから生じた歯車の狂いの中での頼朝自身の不透明な死。

権力者が死にそうになると必ず起こる跡目争い。先を読み機先を制したものが生き残る。注意しておかなくてはならないのは、婚姻制度の違いで、夫が妻の家に入り、そこでできた子供は妻の一家の中で育つ、夫はまた別のところでも別の妻を持ち子供を作る・・という点。結果、ほとんどの兄弟は腹違い。現代風に言えば、頼朝にとって義経は父親(義朝)が、どこかで浮気してできた子供ということで、現代の人間関係に置き換えて考えてもそもそも仲良くなさそう。兄弟・親戚の争いが多いのはそういうこと。一夫一妻制はそういう意味では平和なのかもしれません。

2代・3代将軍となった頼家・実朝が父母とも同じというのはまれなことだと思うが、逆にそれ故にこそ、源氏の血統が断絶するほどの血なまぐさい抗争になってしまったのか・・・。

北条氏は義時・泰時・時頼と人材に恵まれて執権政治というシステムを完成させるが、その時頼もまた、隠居したうえで実権を手放さないという院政みたいなことを始めてしまう(得宗政治)・・・人間の性か。

さて、鎌倉時代も前半が終わりいよいよ蒙古襲来・・

(ちょっと、ボッシュにもどろうか)