El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

日本の歴史(6)武士の登場

一気に読ませる面白さ

日本史の通史は2018-2019年に岩波新書のシリーズ全25冊を読んだのだが、少し物足りなさは確かにあった。歴史のシリーズで定評があるのは、中央公論社「日本の歴史」全26冊。

このシリーズは最初1970年代頃までに書かれているので、それからすでに50年経っていて、今とはまた違う歴史観の部分も当然ある。1974年に中公文庫になりその時は白っぽいカバーだったが、2004年に改版されて黒いカバーになった。この2004年の改版には2004年当時の歴史観からみた解説が新しくつけられている。その解説まで読むと、1970年代、2000年代それぞれの歴史観の違いがわかるという仕掛けになっている。

こまめに収集して手元に揃ったので読んでいくことに。順番はランダムでもいいが「鎌倉殿の13人」にあわせて、その少し前の時代からということで第6巻「武士の登場」からのスタート。文庫で500ページ超。字が小さく紙のままではつらいため、いわゆる自炊(PDF化)してiPad miniでGoodNotesというアプリ上で線を引いたり書き込みをしながら読む。週末の読書時間をほぼ全集中させてなんとか読了。

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平将門の乱あたりから始まり、前九年・後三年の役と、土着の武力勢力と派遣されてくる勢力(主に源氏)の闘争、律令国家から荘園制への移行、後三条天皇に始まる院政、源氏の東国化と平氏の西国化、保元の乱・平治の乱、摂関家(藤原氏)の没落、白河ー鳥羽ー崇徳ー後白河あたりの美女を中心とした人間関係、平家の台頭と没落。

この中では保元の乱・平治の乱がキーポイントかな。そう大きくもない戦いだったのに、結果摂関時代が終わり、平氏↑の源氏↓、そしてそこからの逆転で鎌倉時代へと続く。