El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

レイトショー(上・下)

「ボッシュ」のマイクル・コナリーの新シリーズ

舞台は2017年のロスなのでハリー・ボッシュは67歳・・・年齢的にアクティブな役どころは難しいという判断なのだろう、今回の主役(ヒロイン)はロス市警ハリウッド分署の夜勤専門刑事(レイトショーと俗に言うらしい)レネイ・バラード(30代半ばらしいが明記はされていない)。

今回はバラードの顔見世という意味合いが強いのかボッシュは登場しない。しかし、バラードの行動はまるで「30代のボッシュはこうだっただろうな」と思わせる。直情径行、先を急ぎすぎてちょっとしたミスを犯すがガッツでリカバー。上司とそりが悪く、さらにその上の上司とも別の敵対関係・・・まるでボッシュ。

このところボッシュ・シリーズはボッシュの歳のせいか少し沈滞気味だったので、バラードに活を入れられたみたいな読後感。こういう展開も必要だと作者コナリーも感じたんだろうな。

次回作ではボッシュ・シリーズに戻り、次々回作ではボッシュとバラードが出会うらしい。70歳を目前にしたボッシュと30代のバラード、爺さんと孫?

歳の差がある若者に老人がどのように知識を伝授していけばいいのか、という読み方ができるかもしれない。