El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

批評の教室

北村紗衣ワールドへの(やや高齢の)普通人向け入り口

「批評の教室」というタイトルで、映画の批評の書き方?蓮見重彦の弟子?というイメージで手に取ったし、半ばまではそんな感じで読み進む。ところが、終盤にきて北村と、彼女にかって批評の指導を受けた男性の二人で、二本の映画「あの夜、マイアミで」とディカプリオの「華麗なるギャツビー」の批評を書き、相互に批評の批評を開陳するパートまで読み進むと、パーっと明るく視界が開けて、それまでのパートが「なるほどそうか」と理解できて、そうすると、また頭から読むことに。

そして、北村紗衣がWikipedianであるという記述から、北村紗衣をWikiで検索するとそこにはほぼ完璧な北村紗衣のWikiページがあり、これまた耽読。さらに北村紗衣のブログへと入っていくことになる。

ぼんやりと映画を楽しんでいるだけより、一本(いや二本、三本?)筋の通った目で作品を観ることができるようになれそう。

若い才能に触れてうれしい想い。2022年最初の読書で至福を得る。