El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

真鍮の評決(上・下)

ボッシュの弟がリンカーン弁護士

ボッシュ・シリーズのマイクル・コナリーのもう一つのシリーズ「リンカーン弁護士」の2作目(1作目は映画は見たが未読)にボッシュが登場するということで読んだ。

基本は法廷シーンとその準備シーンになるのでボッシュ・シリーズに比べてアクション部分は少なくなる。アメリカの刑事事件の司法制度やその制度を生活の糧にしている人々(判事・検事・弁護士・職業的証人)や陪審員制度など勉強になる。しかし、この制度を維持するには相当ヒト・モノ・カネが必要だということもよくわかる。また、制度の中に悪徳者が入り込むのもまたしかり。

日本的(ドイツ的?)制度とはだいぶ違う。違う制度なのに、アメリカの影響受けて法科大学院作って弁護士増やしても食べていけなかったのは当たり前だ。

司法制度にがんじがらめでもがくハラー弁護士とチャチャっとケリをつけるボッシュ。ラストシーンでボッシュの方から腹違いの兄弟であることが告白される。ストーリーの面白さ、意外な犯人などコナリー節は相変わらず。それでいて、ボッシュの間に読むことでリフレッシュできる。