El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

人新世の「資本論」

脱成長コミュニズムはつぶれるでしょうね

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

  • 作者:斎藤 幸平
  • 発売日: 2020/09/17
  • メディア: 新書
 

マルクスは本当は最後の最後にエコな共産主義に到達していたんだ、そしてそれこそが人類が進むべき道だよ・・・という主張。かなり牽強付会。人新世というキーワードはエコじゃない世界を表現するために使われただけで、この本で人新世についてわかるわけではない。

半分以上が現実の否定を延々と書き連ねているだけでホワッツ・ニューがいつ出るかと我慢して読んでいたら、マルクスが最終的にはエコな共産主義を志向していたんだよと・・「脱成長コミュニズム」を目指すべきとくる。

脱成長はわかる、しかし、そもそもコミュニズムでは成長できないことが歴史で証明されているじゃない。それでは食っていけなかったんでしょ。5本の柱が書かれているが・・・なんとも空疎。