江戸時代に似た明の300年
本シリーズ③でのモンゴル(元)の扱いがあまりにも簡略であったのに比べ本書は一冊全部が「明」史。300年続いたこと、鎖国政策が銀によるグローバル経済に巻き込まれて衰亡したことなど、なんとなく徳川300年に似ている。
明の時代は日本では室町幕府の盛期から江戸時代初めにあたる。日本の戦国・織豊時代が明の末期にあたり、ポルトガル人やオランダ人によるヨーロッパの大航海時代の影響をもろにうけた。鉄砲の伝来(火器の逆流)、銀の流通によるミニグローバル化など、中華というより世界の中の「明」になってしまった。
秀吉そしてヌルハチの頃には国家矛盾が膨れ上がっており、秀吉との闘いで疲弊した後、ヌルハチ・ホンタイジにあっさり乗っ取られ滅亡。このあっけなさも明治維新に通じるところがあるような。