El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

隠された奴隷制

 マルクスの時代までは話はあっているが・・・その後は「きめつけ」っぽい

隠された奴隷制 (集英社新書)

隠された奴隷制 (集英社新書)

  • 作者:植村 邦彦
  • 発売日: 2019/07/17
  • メディア: 新書
 

新大陸における黒人奴隷によるプランテーション経営の成功が、イギリスひいては先進諸国の大規模工場での賃金労働につながった。そういう意味では賃金労働者は隠された奴隷なのだ・・・と言えなくもない。

しかし、そこから一気に新自由主義を資本家階級による(隠された)奴隷制の強化とつなぐのはあまりにも短絡的ではないか。工業化社会以降は資本と労働はときには闘争状態、ときには協力してここまでやってきた。いたずらに「資本家VS奴隷」を強調するのはマルクス・レーニン主義的。共産主義国家の失敗や国内であれば革新政党の弱体化など要素はあまりにも多い。・・・と川北稔ファンは思うのだが