長寿の歴史はたかだか100年、それを進化生物学であれこれいうには短すぎないか?
男性の老化・寿命とテストステロンの関係はよくわかる。マッチョが長寿ではなく「筋肉は裏切らない」というのが寿命には当てはまらないことも。しかし、人間の寿命が生殖ができなくなる年齢を超えてきたのはせいぜいこの数百年のこと。進化生物学的に考えれば、人類は飢餓や感染症や事故で50歳になる前に死ぬのが普通だった圧倒的に長かった時代に適応していると考えるべきなのじゃないか?
テクノロジー(農業・工業・医学など)で長寿となり、進化論的適正寿命を大幅に超えてしまった。なので進化論的適正寿命以後のあれこれを進化生物学で解釈しようとするのは無理があるような気がする。50で死ねば、テストステロンも肥満もあんまり関係なかったよね、がんも認知症も(年金も)・・・。著者がむりやり自分のフィールドで話をしている感がないとはいえない。
とはいえ、出版元のインターシフトはいろいろ面白い海外の科学系の一般書をタイムラグなく出版してくれるので、読めばなにか発見があるのはうれしい。原書を選んだり短時間で訳すのは大変だと思いますが、経営的に長続きしてほしいです。がんばって。