その道ひと筋ウン十年という研究者が書いた本はおもしろいものが多い。著者はインフルエンザウイルスを追ってオーストラリアーアメリカー中国ーロシアー南極と世界中を旅して鳥のウンチや血液を調べてきた。インフルエンザは水鳥由来で渡り鳥が毎年移動するごとに拡散されている。その途中で鳥の集積地(中国や香港の生鳥マーケットや渡り鳥の集合地)で遺伝子(RNAウイルスなのでRNA)変異がおこり病原性が変化する。異種感染性や病原性・致死性がさまざまに変化し、すべて凶悪にそろうとスペイン風邪みたいなことになる。
と、いうようなすべてが、著者の研究生活から明らかになった。また、その中からタミフルのような抗インフルエンザ薬の発見も。旅の途中の爆笑エピソードも満載で、おもしろくて勉強になる一冊。一見地味な本ですけどおすすめです。国内のウイルス研究者が分担しての訳出にしては読みやすい。