El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

高度成長―シリーズ日本近現代史〈8〉

今に近づけばこそのむずかしさ?当たり障りのないところへ

高度成長―シリーズ日本近現代史〈8〉 (岩波新書)
 

 やっと8巻目で自分自身の時代に・・・とはいえ、1957年生まれの私にとっては社会人になる直前までの時代。個人的には小1のときオリンピック、中1のとき万博だった自分はまさに高度成長を子供ながらに享受できた世代とおもっている。ここまでくるとそれまでのようには落ち着いて概括的に読むことができない自分を感じる。同時代を理性的に理解することのむずかしさを感じる。子供心には、大人びた政治家たちが派閥抗争を繰り広げながらも国を大きくしていったと認識していた。しかし、現在から見れば、その場その場の政治の駆け引きはいかにも子供っぽいものだなぁ・・・そしてその積み重ねがバブルに。いつの世もこんなものだ。