El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

激安ニッポン Audible

シロウト目線・・・

かなり近視眼的な本。激安ニッポンであることは確かだが、原因は著者が言うような「長年の企業・役所の生産性の低さ」や「イノベーションのなさ」というよりは、長年の金利政策による円安誘導だろう。

賃金と物価をリンクさせて考えるには、「単位時間賃金で買えるものが何か」で考えなければダメでしょう。日本の時給が1000円でビッグマックが2個買えるとして、アメリカの時給が20ドル(=3000円相当)でもビッグマックが2個しか買えないなら、日米差はないわけ。この場合、為替が50円=1ドルだったら何も問題ないはず。

この為替を輸出企業のためもあって金利差や金融緩和で150円=1ドルにしているから激安ニッポンになるんでしょ。給与が上がらないけれど物価も上がらない、という安定生活を30年やってきた。それはそれでアリだったのでは。著者ごひいきのイギリスや欧米がそんなに暮らしやすいとも思えず。

しかし、しかし、コロナ後のインバウンド復活もあり、安い日本も買われすぎれば物価も給与も上がっていきそうだ。それがいいことなのかは見えにくいし、対策もたてにくい。

円安で輸入品が値上がりするのは当然だが、いわゆる輸出が好調なものでも、世界戦略商品ー自動車、カメラ、オーディオなどは「価格のグローバル化」でドル建ての基本価格を為替換算するやり方がだんだん一般的になり(まあ、部品を輸入したり、中国で作ったりしているの当然なのだが)、グイグイと値上げしていきそうだ。

特に、ゲーム機、カメラや小物家電など日本で買って持ち帰れるものは内外価格差が大きいとインバウンドの転売ヤーが爆買いして日本の消費者に回らないので値上げせざるを得ないなんてこともあるようだ。

下の記事にある「SACD30n」を昨年末に購入したが、それが7月には10万円近く(定価ベースで28%)も値上げされるようだ。いろいろ今が買い時ということかも・・・