El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

犯罪

Kindleにて再読。これは紙の本が欲しくなる

最新刊の「珈琲と煙草」に引っ張られて、読んだ記憶があった最初の作品集「犯罪」を探したところKindleの中にあったので再読。事件の切り取り方が抜群にうまくて次から次へと、さまざまな事件を11編、あとを引きながらも読んでしまう。読後感がいいもののあれば、悪いものもあり、まあそれが人生。「罪悪」「刑罰」と続くシーラッハ節にどっぷり浸かりたい、と思うほどの中毒性。Kindleではなく紙の本、それも文庫ではなく単行本で手元において置きたい。

「珈琲と煙草」の20番目に、ミヒャエル・ハネケ(オーストリアの映画監督)のことが書かれている。シーラッハの文章よりもさらにドライに切り取ったような世界観の映画のようだ。人生にメタファーはない!ということで不穏な映画「ハッピーエンド」を観ることに・・・

ハッピーエンド(字幕版)

ハッピーエンド(字幕版)

  • イザベル・ユペール
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映画感想:過剰な説明やセリフは一切ない、当然メタファーもない。裕福そうな一家のそれぞれの孤独。ジャン・ルイ・トランティニアン演じる希死願望ある長老と孫娘、救いはないがリアルはある、そんな映画。