El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

珈琲と煙草

観察記録と名付けられたシーラッハの48の断章

ドイツの刑事事件弁護士で犯罪小説家でもあるシーラッハの短文集。5~6行のものから10ページ以上のものまで全48編の文章。シーラッハの小説は読んだ記憶があるがレビューは書いていないようだ。

48編、どの文章もちょっとシニカル、職業柄か法廷関係と医療関係のプロフェッションをテーマにした文章が多い。さらに人生の終わりの周辺、また著者の祖父がナチスの大物でもあったことへの韜晦。

紹介されていて観たくなった映画「胸騒ぎのシチリア(アラン・ドロンの「太陽が知っている」のリメイク)」、ハネケ監督「隠された記憶」「ハッピーエンド」「ファニーゲーム」ほか。

抜書きもいくつか・・・しみじみと

  • 自分を愛するのはとても難しい。型を保つことは、私たちの最後の寄る辺なのだ。(P29)
  • 故郷というのは場所じゃない。記憶さ。(P52)