El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

贖罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (18) 2015年 ボッシュ65歳の設定

LADPの定年延長を陰謀で打ち切られたボッシュ。ハーレーのバイクをレストアする静かな日々を送ろうとするが、なにかしっくりこない。そこに腹違いの弟、弁護士ミッキー・ハラーから冤罪事件の弁護のための調査の依頼が・・・。

刑事と刑事弁護人とは、検察官と弁護人よりももっとするどい対立関係にあるわけで、ボッシュは仲間を裏切ることになる弟の依頼をしぶしぶ引き受ける。そこから先は、これまでのボッシュと同じような捜査、しかし警察官ではないため多くの壁にぶつかり、そこをコネやだましのテクニックですりぬけて、解決へ。

そして最後にはハラーの見せ場の法廷シーンもたっぷり。ボッシュがとにかく正義のために動くのに対して、弁護士は依頼人の利益のために動く、そんな対称も面白い。さすがに65歳のボッシュ、女性との付き合いもライト・タッチ(に思えるが)。