El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

宝島

Audibleで聴きました。約40日のウォーキング期間(録音時間18時間22分)。

宝島

宝島

Amazon

終戦(1945)から返還(1972)くらいまでの沖縄を舞台に、そのころの沖縄はこうだっただろうなというフィクション。書いたのは沖縄人ではない。フィクションとはいえ、沖縄戦・占領・進駐・アメリカ統治・返還運動・ベトナム戦争・コザ暴動などを踏まえているので、歴史のあらましを知るという意味ではよかった。

小説としてどうかと言えば、とにかく長いわりに展開が遅く、枝葉の部分も書き込みすぎ。そこまで紙数を費やしたなら、そこから発展するだろうなと思っても、発展しないので、出来事の軽重感がわからず、その結果として物語の芯がぼやけた感じ。

まあ、この本に書かれた時代のあとに安室奈美恵の時代が来るわけだが、彼女の家庭環境もこんな歴史の延長にあるんだよね・・と感じてみたり。まあ、沖縄だけの悲劇ではないのだろうが、日本人みんながふたをしてなかったことにしようみたいな部分をフィクションとはいえ、若い人に読んで(聴いて)もらうという意味はある。