El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

工学部ヒラノ教授のウィーン独り暮らしの報酬

 今回はちょっとロマンティックだったヒラノ教授

ヒラノ教授こと今野先生、80歳。「・・・ラストメッセージ」「・・・徘徊老人日記」ときて、一点35歳、45年前のウィーンでの研究生活の思い出ノート。今回は、美しき人妻高橋ゆり子さんの登場でロマンチックでした。

そしてまるで「失われた時を求めて」のように、 亡くなったり、老いたり、育ったりという30年後の描写。ちょっとできすぎで、創作?とも思いました。

学問的には論文量産ノウハウや、その後のつくば大、東工大への布石となったウィーン独り暮らしだったんですね。というか、奥さまへの手紙も含めて、すべてその後のいい結果をもたらしたという前向きな解釈をすることが大事だな・・・と思いました。前向きな部分の記憶を強化して幸福な老後を生きる、というワザを感じます。