El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ブラック・アイス

ハリー・ボッシュ シリーズ(2) 国境地帯のボッシュ

ボッシュ、メキシコへ。とは言っても、カリフォルニア州とメキシコのバハ・カリフォルニア州は隣り合っていて、舞台はアメリカ側のカレクシコウ(Calexico)とメキシコ側のメヒカリ(Mexicali)。

LAの刑事ムーアが殺された事件を追って彼の故郷であるこの国境地帯を行ったり来たりしながら、ムーアと麻薬王の隠された因縁を解き明かしていくボッシュ。過去を抱えて生きること、過去からの解放・・・。メキシコの闘牛の描写がすばらしい。

ボッシュ・シリーズに通暁する「社会的規範ではなく自分の中にある一本の信念に基づいて生きる」という生き方がよく表現されている。