El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ノマド 漂流する高齢労働者たち

日本でも車上生活ノマドは増えてるのでは?

ノマド 漂流する高齢労働者たち

ノマド 漂流する高齢労働者たち

 

ワーキャンパー(Work-Camper)とは、定住する家を失いキャンピングカーで移動しながら季節労働や某巨大ネットショップでの仕分け重労働で生活費を稼ぐ人たち。リーマンショックやら格差拡大で増えているらしい。特に60代70代の高齢白人(黒人がワーキャンプするのはアメリカでは危険)。

この本は、そういうワーキャンパー・ライフへのまあ言ってみれば潜入ルポ。ビーツ(砂糖大根)の収穫や某巨大ネットショップの潜入ルポでもあるが、どちらかというとワーキャンパーの生態ルポが中心。

そういう生活に落ちていく人自身にも問題はあるだろうが、落ちてしまいやすい社会が簡単に作られることも事実。総中流と言っていた日本でも非正規労働者が増えて高齢化していけば家を失っても不思議ではない。

現に、車上生活をしている人のドキュメンタリーをテレビでやっていた。日本の場合は軽自動車でやっている人もいるのはお国柄か。

そんなことにならないようにしなけりゃなあ、としみじみ。楽しい本ではない。

(2024.3.25追記)2021年にこの本を原作とした映画「ノマドランド」が作られヒット。アカデミー賞などを総なめ。↓