神がもたらした超越と普遍
哲学のシロウトが第3巻まで読んで思うのは、「歴史の裏側に哲学あり」ということ。歴史ものばかり読んでいるとどうしても政治的な権力闘争史が歴史を作ってきたと思ってしまうが、本シリーズで、背後にある思想史のはたした役割の大きさを知る。キリスト教でもイスラムでも超越者(=神)を措定することで普遍化がおこり帝国が築かれた。東洋では儒教と仏教の関係・闘争がさまざまな政治的変化を生む。
ギリシャ哲学はアリストテレスの著作を経由して、キリスト教化されたヨーロッパやイスラム、一部はインド世界に。キリスト教世界では神学と哲学が混交してこの先、トマス・アクィナスからスコラ哲学への進むのだろうか。
上に書いたようにザックリとまとまるようなものでもないのであろう、採録の10章の中では下記のものがシロウト読者には???でした。
⑥イスラームにおける正統と異端
イスラームが初出なのにいきなりイスマーイール派の話になる。「イスラームとは何か」(古村泰・講談社現代新書)を開くしかない。
読むのに時間かかりすぎているためか既刊分の中の仏教・儒教への理解がうすれており、自分のせいだが、この編が何が言いたいのかピンとこない。
⑨インドの形而上学
いきなり「ヴェーダ時代以後の・・・」で始まり、前提として必要とされているであろう知識がないためか、ほとんど理解できない。
その他の章ではかなりシロウト読者を意識して書かれているように感じた。①④⑩はreadabilityが高い。このようなアンソロジーではしかたのないことか。