El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

もうダメかも――死ぬ確率の統計学

日本では通用しない話が多すぎる

人間の一生をとりまくリスクを「統計という数字」と「リアルな出来事」という2つの面から語りつくす・・・というコンセプトは面白い。しかし、半分以上のテーマが日本の読者にはピンとこないいかにも現在のイギリス社会密着のテーマ(ドラッグや失業やスポーツなど)のため日本人にはリアリティがないし、統計数値も日本人にあてはまらないものが多い。

日本でも同じだなというのは
1.新生児
6.予防接種
11.出産
17.ライフスタイル
24.検診
くらいではないか。

マイクロモートとマイクロライフという新しいリスク単位を作り出す必然性も疑問。
3人の架空の主人公(平均的・慎重・リスク好き)がいて、各章、まずこの主人公たちの小話が3分の1ほど繰り広げられ、残り3分の2が統計的ウンチクという構成も切替がわかりづらく疲れる。フォントを変えるなど工夫がほしい。イギリス人好みな構成なのだろうか。

面白い章もあるのだが・・・ちょっと残念。日本語タイトルの「もうダメかも」は出所不明。