El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

帝国の陰謀

今の日本の政治に通じるパロディ帝国、フランス第二帝政

帝国の陰謀 (ちくま学芸文庫)

帝国の陰謀 (ちくま学芸文庫)

 

 二世政治家や三世政治家がその地盤・看板・算盤で総理大臣にまでなれるような世の中と、どこか似ているフランス第二帝政ナポレオン三世を演出した義弟のド・モルニーは、日本ではさしずめ某官房長官かしら?

本書解説に「純粋な『形式性』と起源なき『名前』の流通によって現実が作られる時代。それはいかにして生まれたのかー。」と、あり。フランス第二帝政は、手法としてはその後のヒトラーにも通じるものだった。そういえば、ナチスが合法的に物事を進めたことを見習えと、これまた三世政治家・元首相の現職大臣が言っていたなと気づく。彼がド・モルニーのことを知っているとは思はないが、この手のことを本能的に思いつき是とするタイプの人間はいるのだな。