El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ネガティブ・ケイパビリティ

 答えのでない状態を耐える

 一昨日買った「ネガティブ・ケイパビリティ」を読了。うーん、この用語に巡り会えたことは良かったが、帚木蓬生氏の本そのものは、この本の紹介記事である「一冊の本」の文章だけで十分だったかな、という印象。まあ、読了したからこそ言えることではあるのだが。例えば漱石の「この世に片付くことなんてなにもない」ということを一言で英語でいうとネガティブ・ケイパビリティということなんだな。

シェイクスピア紫式部がその作品からネガティブ・ケイパビリティを理解していたと、かなりのページを使って書かれているのだが、どうもページ数かせぎという印象。

ただし、どうしても答えを求めてしまう性質を意識し、答えのでない状態を耐えることもまた必要と意識していることは重要だという点は、まったくそのとおりで、その感覚をネガティブ・ケイパビリティというフレーズで感得できた(ような気がする)のは素晴らしい収穫・・・と60歳直前に思いたい。