El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ブッデンブローク家の人々

60歳、再びマンから始めよう

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)
 

 トーマス・マン「ブッデンブローク家の人々」全三巻を読了。

魔の山」を2003年の5月に読んでおり、その頃から日記をきちんと書くようになった。自分としては中年期に読書生活をリスタートしたきっかけが「魔の山」だったというわけ。

そこで、60歳、再びマンから始めよう。

5月6日の60歳の誕生日から読み始めて11日。このくらいのスピード感で読まなければその家の没落を実感できないのだろうな。「家と市民が」一体化して単位であった時代の話。現代は「労働者とその家族」が単位だが、現代の単位も例えば親子関係、兄弟関係によって「家」を意識させられる場面があるのはこのところ実感しているところ。日本は、そこの部分で個人主義が不徹底(これは福祉の問題かもしれないが)だからか。まあ、故にこそ、ブッデンブローク家に共感できる部分もあるわけだが。まあ、久しぶりの長編の読書を楽しめた。引き続き読んでいきたい。