El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

白鯨

年を超えての読書

白鯨 上 (岩波文庫)

白鯨 上 (岩波文庫)

 

 「白鯨」を読み続けているのでそのペースにはまっている。航海と捕鯨、緩徐と急激、そして挟まれる挿話、百科全書風記述。20041030

久しぶりに歩いて山を降りる。途中明かりが消えているところがあり躊躇してしまう。メルヴィル「白鯨(中)」(岩波文庫)読了。まだまだ白鯨は登場せず。嵐の前の静けさという雰囲気の中、捕鯨の様々な側面が百科事典的に開陳されていく。20041102

電車でメルヴィル「白鯨(下)」(岩波文庫)を読んでいる。なかなかモービー・ディックは出てこずに航海がたんたんと続けられていく。G・ペックの映画(見たわけではないが)から波乱万丈物語を予想していたが名作たるゆえんはそこではないようだ。・・・と、ここでモーム「世界の十大小説」を持ち出してきて「モービー・ディック」の章を読んでみた。やはり同じ感想が書いてあります。モームらしい的確な表現で。20050114

メルヴィル「白鯨」全三巻、読了。11月に延岡に帰省したときに読み始めたがその後下巻がでるまで時間がかかった。モームの世界十大小説のうちのひとつ。たしかにその構成は風変わりではある。翻訳者の八木氏の解説に詳しい。実際の白鯨との出会いと終末までは最後の10%にも満たない。クライマックスはだれでも知っているので、単にストーリーを追うことを目的に読んでいては、それ以外の部分を読み切ることはできない。物語の展開が主眼の小説ではない。モームは鯨に関する雑学部分を知識のひけらかしと読んだようだがそれはちがうだろう。物語の展開のなかで鯨に関して知識を出して行く方法もあるが、「白鯨」のように鯨の百科全書のなかに物語をうめこむ方法もあるということでは。20050117

<追記>映画「白鯨との戦い」☆☆☆☆★港の風景など、ジョン万次郎の時代をなぞることはできる。まあ、全体の流れはいまいちでメルヴィルの小説には遠く及ばす。20200118

白鯨との闘い(吹替版)

白鯨との闘い(吹替版)

  • 発売日: 2016/04/20
  • メディア: Prime Video