「お母さんの恋人」を読んだ
朝の電車で読み始め、次の日の早朝に布団の中で読み終えた。徹夜をしたわけじゃなく、早く目が覚めたので続きを読んだ。そんなわけで、ストーリーは少しまどろんだ状態でフィナーレを向かえた。まどろみのなかで自分は本の中では磯谷(いそがい)君だろうなと思った。頭が切れるがそれが人を傷つける方向に使われることが多いとか、生家があまり裕福でないとか。
有希子さんはサイには悪いが、〇〇さんのことをイメージしながら読んだ。年齢が近いこともあるが・・・「彼女のこと、なにも知らないに等しいが、今は姿を思い浮かべるだけで気分が良くなる。空想でも考えつかないことが、現実世界では可能なのだ」
読んでいて妙な符合を感じた。まず川と橋。それは私にとって故郷のイメージに他ならない。磯谷(いそがい)というなつかしい苗字。そして夜市(私は故郷以外ではじめてこの言葉を聞いた)。
読み終えて奥付を見た。伊井直行氏は宮崎の出身だとある。大淀川では違うイメージだ。ネットで調べる。やっぱり、彼は私と同じ延岡の出身だった。やはり私は磯谷君の高校時代をまさに経験していたのだ。(井伊直弼の井伊と伊井の微妙な違いに注意。ただし、延岡藩主内藤家には井伊家から人が入っておりここらあたりどうなんだろう。)
別の表現メモ
「好きな人が自分のことを好きだとわかったときのあの喜び・・・」
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伊井直行メモ(引用)
略歴
1953年、宮崎県生まれ。慶大文学部卒。小説家。初期は幻想的な作品が多いが、最近はポリフォニーの手法によって物語を裏切り、諧謔を楽しむ作風に変わってきた。『進化の時計』で1994年度平林たい子賞受賞。1996年4月より「三田文学」編集長を一年間つとめる。2001年、『濁った激流にかかる橋』で読売文学賞受賞