El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

上流階級 富久丸百貨店外商部(その1)Audible

神戸の百貨店外商部が舞台

百貨店外商部がどんな仕事をしているのか手に取るようにわかる本。あわせて阪神間のいわゆる上流階級の生態もわかる(ような気がする)。モデルは大丸百貨店だろう。外相は百貨店の売り上げの3割をも担っているらしい。エンタメとして、また阪神間で消費生活を送っているわが家にとっても大変面白い。詳細のレビューは続巻を読んでから。

<閑話ではあるが>

大阪から西に向かうと北は六甲山、南は瀬戸内海(大阪湾)に挟まれた扇状地の帯が神戸三宮まで東西に続いており、ここがいわゆる阪神間。阪神間の鉄道はいずれも東西に走り、一番北の山裾を走るのが阪急、そこから南に山手幹線道路、JR神戸線、国道2号、阪神、国道43号、海岸となっている。

川の流れが六甲山から海に向かって北から南。水利の関係で行政区は川沿いに縦割りになっており、たとえば芦屋でも山から海まで縦に細長い。当然山側が標高が高い。

何が言いたいかというと、この地域では山側の標高が高いほど生活水準が高いという不思議な住み分けになっている。芦屋あたりから西宮、神戸東灘区、神戸灘区とみな同じ構造になっている。そのためどこに住んでいるかでランク付けされてしまうようなことが起こる。