El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

すずめの戸締り

アニメでしか描けない、「3・11鎮魂歌(レクイエム)」

Amazon Primeで公開されている冒頭12分に引き続いて神戸三宮のシネコンで鑑賞してきた。宮崎ー愛媛ー神戸ー東京ー仙台とロードムービー風に展開していき、あの3・11の日に戻る。私自身が住んだことがある(宮崎・神戸・東京)場所が多く、方言も・・・まあ、めっちゃ、そうじゃが。

アニメでしか描けないような地震を起こす神やそれを防ぐ守護者などの荒唐無稽さが、地震災害の唐突さ(=荒唐無稽さ)とシンクロして、最後まで引っ張る力はさすがに新海監督。一周回って、最後の扉の向こうで鈴芽(すずめ)が出会ったのは・・・と、ネタバレにならない程度で。

東京-仙台のドライブ中に流れる「懐メロ」をリアルタイムで聴いていた私のような世代向けなのかも。映画館には小学校低学年っぽい子供も多かったが、3・11そのものを経験していない世代にとってはどう映るのか・・・それはわからない。