El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

古寺行こう(10)唐招提寺 行ってみた

なぜか一番落ち着く

9月の最終日なのに気温30℃の中、西ノ京、唐招提寺へ。薬師寺のすぐ近くだが趣きはだいぶ違うので単独で行くのがおすすめ。2000-2010年と金堂が工事中だったので、正面の門から入った時に見える「天平の甍」を見たのは久しぶりでした。

中の仏像がすべて国宝という金堂はいつ来てもすばらしい。まさに天平の甍、柱。講堂や宝蔵、経蔵、鼓楼など比較的狭い寺域にコンパクトにおさまって秋晴れの空、萩の花。

コンクリート造りの新宝蔵には如来形立像(にょらいぎょうりゅうぞう)。首や手先が失われているのですが、それが想像力をかきたてるのか、完全型の仏像よりも人気を集めています。コロナ禍のマスク美人と同じ理屈でしょうか。人間は隠された部分は自分の理想像で補うらしいです。

鑑真座像は何度か展覧会で拝見しましたが、唐招提寺に来ても年間数日しかない特別な日にしか見れません。代わりにレプリカというか「身代わり鑑真座像」が2013年につくられています。

この時期美しいのが鑑真和上御廟へ向かう林の苔、これが独特の色です。

奈良に戻り、いつもの日本酒バーchuinで渇きをいやし帰路へ。