El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

つげ義春 名作原画とフランス紀行

どんな場合でも、逃げるが勝ち(帯にあるつげ義春氏の名言)

つげ義春の漫画はなぜか定期的に読みなおしたくなる。そんな、文学的漫画家・つげ義春氏は作品にも描かれるように、国内のとんでもない田舎のボロ宿が好み。座右の銘が「いて、いない」「目立ちたくない」。日本漫画家協会賞大賞の贈賞式に受賞者でありながら雲隠れしたのは有名な話。外国旅行の経験もなし。

そんな、つげ氏の作品が英語・フランス語への翻訳で出版されフランスのアングレーム国際漫画祭特別栄誉賞受賞となって2020年にフランスへ(ぎりぎりコロナ前)。その旅の顛末が30ページ。ガロに掲載された6編の漫画の原画をフルカラースキャンしたものが150ページ。

スキャン画像とはいえ、やはり原画で読むとすごく距離感が縮まったような気がするから不思議。結局、またまたすべての漫画を読みなおすことになってしまった。

とんぼの本では同じような体裁の本「つげ義春 夢と旅の世界」がすでに2014年に出ているらしい。これも入手したくなる。