El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

双調平家物語(1) 序の巻・栄華の巻1

とほく異朝をとぶらえば

ボッシュ・シリーズに変わるシリーズ物を楽しむ読書として「橋本治で古典を読む」というプロジェクトを始めてみた。「双調平家物語」15巻、「窯変源氏物語」14巻、「桃尻語訳枕草子」上下、「絵本徒然草」上下、その他歴史エッセーも多い。今年の夏の終わりまで、週末1冊の楽しみ読書。

そこで、最初は「双調(そうじょう)平家物語」。

オリジナルの平家物語の冒頭には「とほく異朝をとぶらえば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱尹、唐の禄山・・・」と異朝(中国)の簒奪者たちが列挙されているが、双調平家物語第1巻では、この簒奪者達の故事をすべて事細かに描写する。それが「序の巻」。

特に唐の玄宗皇帝と楊貴妃と安禄山のあたりは初めて知ることも多い。勃興したり滅亡したり興亡を繰り返す中国の王朝。まさに諸行無常の繰り返し。

そして「栄花の巻」万世一系と言いながら自分の娘を皇帝の后とし、孫を皇帝にすることで権力をつないでいく藤原氏の時代。本巻では蘇我馬子が山背大兄皇子(聖徳太子の子)を襲うまで。

歴史書と違い物語調で書かれると、出来事の軽重がよくわかる気する。