わかる!
シェイクスピアの史劇をBBCがドラマ化した「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」シリーズを楽しむために予備知識として読んでみた。プランタジネット朝・ランカスター朝・ヨーク朝・チューダー朝、100年戦争にばら戦争、まさに日本で言えば太平記みたいな話で、親戚どうしが王冠をめぐって殺しあい、人間関係が入り乱れている。それがこの本を読めばスッキリわかる。挿入図も適切でわかりやすい。十分な予習になった。
通史だけでなく、意外な挿話①エリザベス1世はDSD(性発達障害)?②首相ウォルポールが在任期間中に巨万の富を築き収集した美術品はロシアが買い上げてエルミタージュのメインをなしている。③現在のチャールズ皇太子の後妻カミラ夫人は皇太子の5代前の王エドワード7世の愛人の曾孫。④王冠を賭けた恋で退位したエドワード8世とその妻はファシスト寄りだった。など、意外なことが書いてあり面白かった。
イギリスが世界帝国となったのは産業革命もあるが、その前段階の奴隷貿易(いわゆる三角貿易)による富の蓄積の方を重視する「世界システム論」をきちんとふまえた記述もあり、お気軽なタイトルで読みやすいが侮れない良書。シェイクスピアだけでなくホームズやディケンズを楽しむときにそばにあると良い。
ホロウ・クラウン 完全版です。全7disc+ボーナス。