El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

戦争小説家 古山高麗雄伝

 人生のクロスロード

戦争小説家 古山高麗雄伝

戦争小説家 古山高麗雄伝

 

古山高麗雄が2003年3月になくなってNHKで「一兵卒の戦争」というドキュメンタリーをやったのが2004年8月。その番組を見て2004年9月に「断作戦」を読んでいる。その後も彼の戦争小説を読んできた。

今回、彼の評伝を読んだ。彼の人生と私の人生、二つのクロスロードがあることを知る。まず、彼の父は私の大学の大先輩だった。父、古山佐十郎は第二高等学校(仙台)から九大医学部の前身である京都帝国大学福岡医科大学にすすみ卒業後、大陸の満鉄病院に勤務、さらに満州に隣接する朝鮮の新義州で開業し成功した。高麗雄は新義州で生まれ育った。

そして、高麗雄がなくなった家が相模原の上鶴間であった。私は1998年3月から2008年3月までまさにその上鶴間に住んでいた。高麗雄の家は東林間駅から徒歩5分とあるので私の住まいからは500mくらいは離れていたのかもしれない。私が住んでいた間、1999年に妻が死に、高麗雄は仕事場にしていた南青山のワンルームを引き払い上鶴間にもどってきて4年後に上鶴間で亡くなり、北里で解剖された。

私が住んでいる町内でまさに古山高麗雄が息を引き取ったのだった。

高麗雄の父の故郷、宮城県苅田七ケ宿町「水と歴史の館」に高麗雄ゆかりの品々が展示されているらしい。一度訪れてみたいものだ。