El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

しらふで生きる

酒を飲んでも飲まなくても人生は寂しい

しらふで生きる 大酒飲みの決断

しらふで生きる 大酒飲みの決断

  • 作者:町田 康
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本
 

 「人生の目的地を、楽しみ、と誤って設定し、急いでいたが、本当はそれが、死、であることを知り、死を恐れる気持ちから急ぎたくなくなくなり、また、なにもない瞬間を大事に思いたい、という心境に到った(位置No.2537)。」――人生の目的地が楽しいはずと思い、楽しくない自分とのギャップを酒・クスリ・ギャンブルなどへの依存で埋める、それが依存症だ、と。依存症に到らず、寂しい人生の一里塚として酒を楽しめる節度のある人間であれば、節度をもって楽しめばよい。しかし人は弱く、依存に落ち込みやすい。社会全体も依存者を作り出すことでビジネスしている。誘惑は多いぞ。テレビのアルコール飲料コマーシャルの多さはどうだ。出てくるタレントも少しは考えろ!と言いたい。

📝小田嶋隆による書評