El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

書物の達人 丸谷才一

丸谷才一ワールド 再訪・・

丸谷才一の没後、その生涯や作品を論じるようなものは、刊行順に「文藝別冊 丸谷才一 古典と外文と作家・批評家」(2014年2月)、本書(2014年4月)「丸谷才一を読む」(2016年6月)の三点(2017年12月現在)。その文業の全体像をよくつかめるのは本書。モダニズムとはなにかがよくわかる。また、実際に丸谷と深いつきあいがあった人たちの文章なので、リアルな丸谷像を感じることもできる。勘三郎との関係などは新鮮だった。その時々には読んできた丸谷才一の作品ではあるが、あらためて、ここから再スタートし、「丸谷才一を読む」を片手に小説を味わい、「文藝別冊」の書誌情報をたよりに書評・エッセイ・対談・歌仙とたどっていって、丸谷ワールドにひたりたい。