20041109 「富岳百景・走れメロス」(岩波文庫)を読む。「レ・ミゼラブル」や「白鯨」を読んだ後では日本の私小説もどきの小説は小説というよりはある種の散文詩だ。そこが日本人の情趣にかなうということはたしかにある。
20041112 夜半、太宰治「ヴィヨンの妻・桜桃」(岩波文庫)を読了。いずれの短篇もおもしろく一気に読ませるが中から選べば「ヴィヨンの妻」「トカトントン」か。
20041116 「斜陽」(岩波文庫)読了。告白体というのか太宰が書いたこの形式の文章は一気に読ませる力がある。破滅型の人生論残り3冊。
20041119 「津軽」(岩波文庫)読了。「人間失格」や「斜陽」ほど破壊的ではなく敗戦前後の落ち着いた時期の作品だとわかる。この文庫は解説が秀逸だった。紀行風に見える「津軽」におけるフィクションの存在とそこ創作部分にこそひそむ太宰の太宰たる部分。これはこの解説を読まなければわからない。
20041121 「お伽草紙・新釈諸国噺」(岩波文庫)読了。これで岩波文庫から出ている太宰の作品はすべて読んだ。
「人間失格」は以前に読んでいた。