思い出すたびに作り替えられ更新されている、それが「記憶」
著者のリサ・ジェノバは、記憶に関わる神経科学のプロであるとともに記憶やアルツハイマー病について一般人にわかりやすく啓蒙する活動を続けている神経科学者。テレビやラジオなど数々のメディアに出演しTED トーク「アルツハイマー病を予防するためにできること」は800 万回以上視聴されています。また著書『アリスのままで』(キノブックス)は世界的なベストセラーとなり、ジュリアン・ムーア主演で映画化されて2015年にアカデミー賞(主演女優賞)を受賞しています。
そんなリサがテーマを「記憶」にしぼり、記憶研究の現在地を示しながら、一般人が記憶についてどう向き合うべきかを書いたのが本書「記憶の科学。サブタイトルが「しっかり覚えて上手に忘れるための18章」ということで、記憶と忘却にまつわる神経科学的な18のテーマが巧みに解説されています。
今回のレビュー本の1冊目、2冊目と読み進んでくれば、多くはすでに知っているようなことばかりではありますが、なんといっても語り口が上手です。調べてみるとTEDトークにいくつもの動画があります(日本語字幕あり、下記)。この動画を見て概要をつかんでからこの本を読むのがいいかもしれません。プレゼンが上手な研究者増えています。
個人的に一番面白かったのは第7章。エピソード記憶が思い出すたびにどんどん書き換えられていくというところ。60過ぎると実感しますよ。
記憶について↓
アルツハイマー病を予防するためにできること↓