実際に超高齢者の老人医療をやってみると・・・
実際に超高齢者の老人医療をやってみると、この著者のような老医師の勉強不足を嘆きたくなる。この本の著者は1935年生まれの医師なので88歳くらい。東大を出てほかの分野で活躍をしたのち、老人医療が世に認知された最初の頃にそこに参入したようだ。この年代の医師に共通しているのは、とにかく観念的で「生と死」や「認知症と自己」みたいなテーマで語るのが好き。
しかし、実際の老人医療で今求められているのは
- 適切な薬剤の適切な処方能力・・・主にはいわゆる精神科の薬の処方能力。それによって患者本人の苦痛の緩和とケアラーの負担の軽減、さらには患者の人権や家族の思いなどの複数の因子のバランスをとるコツというかスキルが必要。観念的な精神論ではどうにもならない。
- 老人患者の身体面での疾患治療と認知症の治療の間の相互関係の理解と薬物相互作用などの理解。
というわけで、かなり向精神薬の知識が必要。ところが、この本の著者のことはよくわからないが、この年代だとそこが不十分。薬もどんどん新しくなっているのでアップデートの努力が常に必要。まあ、医学・医療のすべての分野で言えることではあるが、高年齢のいわゆる爺医とよばれる層の知識はかなり古いままなので、とにかく1冊きちんと向精神薬の入門書を読んで欲しい。
老年医療に参入して2か月の私が言うのもなんだが、とりあえず私が読んだのは・・