El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

どくとるマンボウ青春記

松本旅行にちなんで読んでみたが、中高時代に熱心に読んだ理由は?

信州旅行最終日。帰路につくまでの時間に旧制松本高校の校舎などが残っている「あがたの森」というところに行ってみた。中高時代は「どくとるマンボウ=北杜夫」「狐狸庵=遠藤周作」を熱心に読んだ記憶があるが、いま読み直してみるとなぜそこまで熱中できたかは不思議だった。時代の空気? あるいは引用されているトーマス・マンなどをその後の人生で読んだことで二次創作的などくとるマンボウの価値は薄れたのかも。

北杜夫が旧制松本高校に入学したのは昭和20年、そして次の学年までで新制となる。敗戦のどさくさ紛れのモラトリアム時代だったのだとあらためて知る。今のコロナ禍でなんとなくモラトリアム的になっている自分と重ね合わせてみたり。

また、青春期のほとんどが松本の話だと思っていたが、旧制松本高校時代は1/4ほどで後半半分は東北大での出来事だった。記憶ってあいまいだ。

当時の北杜夫の絵葉書と巨大な銀杏が美しい校舎の中庭・・・を