El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

鎌倉殿と執権北条氏

2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」

2021年の大河ドラマは見なかったが、2022年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。源平合戦ー鎌倉幕府ー北条氏の覇権ー承久の乱、この間の流れは人物が錯綜していてわかりにくい。それを三谷幸喜が大河ドラマにするというのだから、かなり面白そうだ。ただし、登場人物が多く人間関係も複雑なので、深く楽しむためにはかなり予習が必要。というわけでドラマの時代考証を担当する坂井孝一氏の著書を読んでみることに。

まずはドラマの主役である北条義時(小栗旬)の視点を重視して書かれたのが本書。本書中に著者の大胆仮説として提示されている源頼朝の最初の妻・八重(新垣結衣)がのちに北条義時の妻になる(いわゆる〇兄弟)あたりは興味深い。ただし、この本だけではまさに北条義時の視点からしかわからないことが多すぎて・・・

残りの2冊は、後鳥羽上皇の視点から描いた「承久の乱」。

源氏将軍たちの視点から描いた「源氏将軍断絶」。

結局、3冊読まされることになる・・・同じ時代を立場の違う三者の目線で描くという著者の戦略にまんまと乗せられることに。