El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

なぜイヤな記憶は消えないのか

 記憶をポジティブに回せ!

なぜイヤな記憶は消えないのか (角川新書)
 

日々の出来事が人生をどう形作るか考えさせられる好著。

自分の成り立ちを説明する物語、著者は自己物語と名付けるが、まさにそれが振り返りうる人生。人生において無数の出来事を経験するがすべてを記憶するわけではなく、今の自分=自己物語に都合のいい記憶だけが選ばれて残り、それによってさらに自己物語が改訂されていく。つまり記憶と人生観にはフィードバックの環がある。記憶は事実そのものではなく、事実から自分が認知した意味。

ゆえに、現在の自己物語が明るければ明るい記憶が残り、さらにポジティブなフィードバックが起こる。悪い出来事でも、それが将来のより良い出来事につながる・つながったと認知することで記憶自体も変容させられる。

人生を肯定的に振り返ろう!記憶をポジティブに回せ!