El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

バテレンの世紀

こういう「おまとめ本」にはそれなりに意義はある

バテレンの世紀

バテレンの世紀

 

 バテレンの世紀 を読む。冒頭、なぜポルトガル人なのかということがよくわかったのは収穫。キリスト教徒というのは随分かってな理屈で動くものだーー、と読んでいたが日本軍も同じだったと気づく。舞台が日本になってからは知ってることが増えてくるがまあ読み通せる。各種文献のおまとめみたいな作品とも言えるが、それでも原典にあたるなんて一般人にはできないのだから、著者が80歳過ぎて作品として世に残すという意義はある。

読書記録を通史として残す。つまり、ある分野の研究書を読み進めながらメモを取り、自分の意見を書き込み、時間をかけてまとめて行く。そういう方法論で一冊の本ができる。たしかにホワッツ・ニューはそこにはないかもしれないが、著者もそれはよくわかっている。研究者ではないのだからホワッツ・ニューがなくても一般読者にとっては読めるし面白い。