El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

北関東「移民」アンダーグラウンド Audible

不法滞在ベトナム人(ボドイ)の日本

不良外国人といえば中国人と考えられていた時代もあったが中国の経済発展で、その後の技能実習生の出身地はベトナムやミャンマー、そして最近はネパールに。

この本が書かれたのはコロナの頃のようだが、その頃は在日ベトナム人は50万人くらい。彼ら、彼女らがエッセンシャル・ワークの多くの部分を支えていたという実態もある。技能実習生とはいっても体のいい低賃金労働者として使われている場合が多く、やがて脱走して不法滞在(コロナで特例はあったようだが)のベトナム人「ボドイ」となる。

ボドイとなっても、ネットの時代なのでSNSによるボドイのコミュニティがあり、それを活用して仕事を見つけたり、違法自動車の売り買いをしたり、盗んだ豚を解体して売りさばいたりーと、日本人には想像もできない「ボドイの日本」がそこにある。

ボドイ間の犯罪や殺人などかなりあるようだが、日本の警察や検察も、また国選の弁護士もなんとなく、厄介ごとには振り回されたくないという意識がある。

著者とベトナム人通訳チー君がいいコンビで、あまり暗くなりすぎないでテキパキと取材をやって、その空気感がベトナム人ともマッチしているようで、その塩梅がなかなかいい。