El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

失踪者

辛気くさい読書が続いたので、この週末はエンタメで・・・

<上巻>400ページ、一気読み!途中で、ほらほらそんなトリックじゃ読者にわかってしまうだろう・・と、思っていると残り10ページくらいでひっくり返されてしまう。そうなると<下巻>に突入せざるをえない!上下巻の分け目が創元社編集の仕業だとすればかなり優秀。

<下巻>うーん。ちょっと苦しい。すでに表紙カバー(上の絵)で展開の推測がつくし・・・失踪の夜の二人の心理的展開にかなり無理がある。ページをめくらせる力量は認めるが、底が浅い?イメージ。登場人物でリアリティがあるのがサイコパスのピットや下宿屋の主人など、ネガティブな人間だけ・・・、主人公周辺の人間たちのなんとスラプスティックで移り気で多弁なこと。まあ、二日間時間つぶしにはなったけど・・